ごあいさつ

 全日本博物館学会は、わが国で初めての、博物館学を研究し発展させることを目指した学会で、19738月に発足しました。学会発足当時には日本の博物館はまだ数も少なく、いわば博物館の成長期ともいえる時期でしたが、博物館法の施行以後、全国各地で設立された博物館での事業や運営の経験に基づいて、博物館の在り方についての議論が進み、学会の必要性が求められる中で設立されたものです。

 博物館学とは、理論と実践とが一体になった学問です。博物館学事典による定義では博物館学とは、「“博物館とは一体何であるのか”ということを明らかにし、その独自の方法、その使命を考究するのが博物館学であり、その究極の目的は、良い博物館、良い博物館活動の確立にある」とされています。つまり現実に博物館という現場があり、それをより良いものにするためにはどういう理論が必要なのかを考えるということは、単なる机上の作業ではなく、すぐに現実の博物館の運営に生かすことが必要であるという側面があります。

 博物館は地域社会にとっての情報センターであり、文化の拠り所です。博物館の状況はその国の文化の在り方を表現しているものでもあります。そのような博物館を日本の社会に根付かせ、多くの市民が利用するようにすることは、博物館学の役割の一つであると考えています。

 全日本博物館学会は、研究者、学芸員、博物館職員などの直接の博物館関係者はもちろん、博物館を利用する立場の研究者、市民を含めて、より多くの人々との議論を通じて、日本の博物館の現状と在るべき方向を研究し、その成果を発信していきます。                        

   そのためには多様な立場の人々との議論の場を作り、様々な意見を交わすことが必要です。ぜひ多くの博物館に関心を持つ皆さんが,全日本博物館学会に入会され、議論の輪に加わってくださることをお願いします。                                                                               

                                        全日本博物館学会                                                         

                                          会長 布谷 知夫